PARAVICINI 312

EARのプリアンプPARAVICINI312をmuiさんが貸してくれました。段ボールから出して、まず驚いたのがそのフロントフェイス。「威容」とでもいうのでしょうか、ただ者ではない雰囲気をただよわせています。

リアも凄いです。入力端子はPHONO1系統をふくめてアンバランスが5系統、バランスが3系統。出力端子も、アンバランス3系統、バランス3系統。びっしりと端子が配置されています。我が家のPL-Lは入力端子4つ、出力端子3つですからねー。これだけで腰が引けてしまいます。

さてその音ですが、第一印象では男性的な音、と感じました。低域のささえがどっしりしているのがそう思わせるのでしょうか。安定感がある音。安心して聴ける音です。そして、やっぱり個性的です。どこが?と聞かれても表現しづらいのですが、確かに個性を感じる音なんです。自分だけの世界を持っているというか。

空間描写に関して言えば、特に音場の広さを強調するようなタイプではないのですが、自然な前後感があって、不満なし。解像度も高い。レンジが特に広いという感じはしないけれど、狭いとも思わない。オーディオ的な要素は高いレベルでクリアしているように思います。いっぽう、リズムが決して早すぎないのがいい。せこせこした感じはなく、ゆったりどっしりリズムが流れます。

音の質感も、ワタシにとっては好ましいものでした。MISIAの声は生々しく、訴えかけるような感じがよく出ている。いやあ、これ以上は必要ないでしょ。男性ヴォーカルの感じを聴くためにカエターノ・ヴェローゾのベストを聴いてみます。ツヤがある。5月の来日公演で聴いた声を思い出させる、滑らかでツヤのある声です。

ところで「STEREO SOUND」で柳沢さんがレポートしていたなかでは、ソリッドステイトというよりは管球的、と書いてありました。が、ふだん管球プリを使用しているワタシにとっては、どちらかというとソリッドステイト的に聞こえます。つまり、音の手触りがつるつるしていて、ソリッドステイト的なんです(他のソリッドステイトのプリよりは管球的なのでしょうけど)。

それはアナログを聴いたときに、特に感じました。PALAVICCINI 312のフォノ部はすごく優秀で、余裕を感じる音です。ただ、レコードなのにCDみたいに聞こえるんです。これはレコードとCDが違和感なく聴けるという意味では利点だと思うのですが…。