megropolitan邸におうかがいするはもう4回目なのだが、そのたびに、オーディオってセンスが大事なんだなー、と実感させられます。最初はSPがWILSON AUDIOの真っ赤なCUB。チェアはJASPER MOLISONのLOW PAD。そのヴィジュアルセンスも脱帽ものなのだけど、ソースはLINN SONDEK LP12のフルセットのみによるアナログオンリー(CDプレーヤーはディズニーのDVDプレーヤーのみ)というのにも唖然とした。

出て来た音は、今までに聞いたことのない音だった。ふつうオーディオというと、ドラムの皮の震えが聞こえたとか、音が後ろに回ったとかいう話になるのだが、megroさんの音はもっと内面的。内省的。プレイヤーの気持ちがダイレクトに伝わってくるような音なのだ。レコードのスゴさを教えてくれたのもmegroさんだ。あるときケイト・ブッシュの「嵐が丘」を聞かせてもらったのだが、同じ初期プレスなのに、盤によって音が激変するのには本当にびっくりした。ケイト・ブッシュの「やる気」がまったく違っちゃうのだから…。

その後、SPはSYSTEM6へと進化するいっぽう、プリはMARK LEVINSONのNO.26Lから一世代前のML6Lに変更。ケーブルはLINNのシルバーや高級ケーブルからBELDEN8412やVITAL、WESTERN ELECTRICといったプロ用に。このへんもmegroさん独特のセンスだと思う。そして今回ついに、megroさんのCDの音を聞かせてもらえることになった。トランスポートはWADIA、DACはいきなり、DCSの最高峰ELGAR PLUS。

110さんと一緒に聞かせてもらったその音は…。はっきり言ってNAGRAがかなり好きな音。いきなりの「奥行き」の深さにびっくりするとともに、楽器やヴォーカルのそれぞれが主張し、それでいて音に深みがある。ELGARって、こんなにいいDACだったんだ! 欲しい…。

WATT+PUPPYの弱点と思っていたツイーターの硬さ?も、ハイフェッツの『チャイコフスキー』ではヴァイオリンの存在感の強さとして、ジャズではサックスの生々しさとして、むしろアドバンテージになっている。このSP、ホーンスピーカーと音場型スピーカーの、いいところを両方持っているんだよなー。だから直接音を聞きたいジャズでも、楽器の配置や奥行きを感じたいクラシックでも、楽しく聞ける。

ヴォーカルもよかった。リッキー・リー・ジョーンズ『POP POP』では情感たっぷりの唄い方。我が家でしばらく鳴らしていたSYSTEM5からは、こんな音、出なかったのに。帰り道はしょんぼりして歩きました。家に帰ってまた愕然。AVALONって奥行きないんだ(涙)。

あえて気になった点を言えば、これはmegroさんには伝えたのですが、ベースの音がぼーぼー聞こえる場合があること。これはWATT+PUPPYのオーナーの悩みなのでしょうが、たとえばスーパーツイーターの追加で低域を締めるとか、いくつか方策はあると思います。megropolitanさんなら、またオリジナリティあふれる対策を見せてくれることと思います。あと、レコードが聞けなかったのが残念。こんどは、ブリティッシュロックとクラシックのコレクションを聞かせてください!