趣味の趣味性

NAGRAさんがいままで聴かせていただいたなかで、「いい!」と思ったシステムがいくつかある。GRVの伊藤さんがML-6をフォノに、LNP-2Lをプリに使っていたとき(SPはARTEMIS EOS)。渋いといえば渋いけど、50年代のレコードが雰囲気良く鳴っていた。BONZAI-PAINTの立沢さんがレビンソンのNO.26Lを使っていたころ(SPはWILSONのCUB)は、ケイト・ブッシュの「嵐が丘」に腰を抜かした(kekeさんのレコードだったのかな)。

伊藤さんや立沢さんと話していて面白いのは、オーディオの「趣味性」という部分に気づかせてくれるからだ。最新の、ハイエンドの機種を並べて、さあどうだ、という音の人はいくらでもいる。でもそういう音はいくら聴いても面白くない。伝わってくるものがない。何千万円の機材を使っていても、逆に貧しさを感じてしまうのだ。

とはいえ、使い手の顔が見えないオーディオも興冷めだが、使い手のエゴ丸出しのシステムも聴くのがつらい。やはり主役はオーディオでもオーディオマニアでもなく、音楽そのものであってほしい。オーディオシステムが目の前から消えて、ただ音楽だけが鳴っているような、そんなシステムが理想かな。

最近は伊藤さんも立沢さんも、オーディオ熱が冷めてしまっている感じなのがすこし寂しいけれど…。