MATRIX NUMBER?

いい音を出すためには、いい機材を揃え、上手にセッティングすることが大事。ボクはずっとそう思っていた。だがレコードの盤による違いを聴いてしまうと、機器を買う暇があったらレコード買お! という気分になります。

写真はトランぺッターWynton Marsalisのデビュー盤。eBayで3ドルで手に入れたののですが、A面のマトリクス番号は1Aでした。聴いてみると、それまで聴いていた米国盤や国内盤とは愕然とするほど違う。初期のプレスは音が太くて濃い。鮮度が高い音がするのはもちろん、音場感がぐんと出て来るのです。Wyntonの印象はどっちかというと優等生的、音よりも演奏の端正さで聴かせるミュージシャンだと思っていました。それが、この盤ではバリバリ吹きまくっていて、SPのあいだから空気が吹き出して来るような音。お兄さんのBranfordも、Wayne Shorterが乗り移ったかのような、最初で最後の名演奏?

Wyntonの評価がいまいちなのは、国内盤レコードからはこの音が出ていないからではないでしょうか。そしてメディアの主流はレコードからCDへ。この吹き出すような熱気は失われてしまうことに…。かわいそうなWynton。

ところでこのレコードのなかでボクが一番好きなのは、B面1曲目、故Tony Williamsによる"Sister Cheryl"なのですが、B面のマトリクス番号は1AFなです。1AFってどういうことなのかな。