先日は、11Oさんちでの試聴会に参加させていただきました。参加者はmegropolitanさん、kさん。110さんと言えば、マーク・レヴィンソンのML-6Lをフォノイコライザーとして使用し、プリにLNP2L、という組み合わせが忘れられません。スピーカーはArtemis Eos、パワーアンプはStellavox PW-1という現代的なものなのに、出て来た音は50年代のNY? なつかしく(って、別に知らないんですけど)、どこか妖しさを漂わせた音は魅力たっぷり。「音を決めるのはプリなんだ!」と、そのとき強く思ったものです。

しかし110さんは、その、妖しげな世界を手放し、さらに妖しい世界に行ってしまったのです。FMアコースティックの世界へ。パワーアンプはFMで最初のコンシューマー機というFM601、プリはなななんとFM266。スピーカーは変わらず。

それにしても、FMの音を描写するのは難しい。megropolitanさんは、試聴中にウニやいくら、トロといった寿司ネタが頭に浮かんだらしいです。「寿司屋に行って、いきなりウニやトロから注文する奴」みたいな音って、分かります? ボクはすごく分かりやすかったなあ。kさんは「響きが濃い」と言っていました。確かに楽器の音そのものと同じくらい、余韻に存在感があるんですね。

「余裕の音」という表現もぴったりでしょう。どんな場面でも、危ういところがない。鼻歌まじりに表現してしまう。FM導入直後に聴かせていただいた音は、もっと「お金持ち」っぽい音でした。でもアース対策が功を奏したのでしょう、今回は、ずっと自然で音楽が楽しめる音です。

レビンソンの頃は、古き良きアメリカ、を感じさせるものでした。今は、時間を超越した音です。megropolitanさんは「時を駈ける少女」みたい、と言いました。

「強い音」であるのは確かです。支配する音、と言ってもいいかもしれません。CDとLPの違いなど吹っ飛んでしまう、まさにFMの音。

さらに言えば、オーディオという趣味の世界を超越した音、という気もするのです。オーディオする気を萎えさせてしまう音? 実際、我が家でこの音が出たら、これ以上なにかをいじろうという気持ちは起きないと思うのです。

世界一贅沢なBGM、と言ってもいいかも。