ライターのヒラリー夫人に面白い話を聞いた。彼女は10年来パーカッションの練習をしているのであるが、日本の土着のリズムから逃れるのはとてつもなく難しいのだという。太鼓を「ドンッ」とたたく時、日本人はどうしても「ド」の部分に意識が行ってしまう。ところが韓国の太鼓では、「ンッ」の部分に意識が行くのだという。日本人が叩くとどうしても下へ下へと気持ちが向かってしまうのに対し、韓国の太鼓は上へ上へと上がっていくのだそうだ。

そういえば昔、WILSON SYSTEM5とAVALON ECLIPSE CLASSICが同時に家にあったことがある(馬鹿)。そのとき、同じドラムの音を聴いてもWILSONはスティックがドラムにぶつかる音が得意なのに対し、AVALONはその後の余韻をうまく表現するのに気がついた。結局僕は余韻のほうを選んだのだけど、そのことを思い出した。

現在使用しているJBL K2 S7500は、打撃音が得意なJBLのなかで、どちらかといえば余韻の表現に長けているモデルだと思っている。

ところでヒラリー夫人は、同じ演奏でも「聴き方」によってまったく違うものになるとも言っていた。つまり「ド」の音を聴く「聴き方」から、「ンッ」を聴くように変えると、音楽がまったく違って聴こえ、そのとき、あまりの違いに涙が出てしまったという。

オーディオにおいて、リスナーの意識の持ちようなどほとんど話題に上ることがないけれど、なかなか考えさせられるテーマだ。