もう20年くらい前のこと。ボクが蔵前に住んでいたころ、地下鉄蔵前駅の近くに「可煎」というマニアックな珈琲店があった。厳選された生豆をひとつひとつ手で選り分け、じっくりと深煎り。ドリップの方法も独特で、まるでなにかの儀式のように見えたものだ。もちろんコーヒーの味わいも格別で、なかでも「ペルー・ピーベリー」は苦みと甘みのバランスがすばらしく、いまだにこれを超えるコーヒーは飲んだことがない(ピーベリーというのは今ではポピュラーになったけれど、コーヒーの木の先っぽだけにできる、まるっこい実のことだと教わった)。

その後、ボクは蔵前から引っ越し。可煎も市川に移転した。それからもずっと豆を購入していたけれど、いつしか音信不通状態に。おいしい珈琲を探して他の店でいろいろ取り寄せてみたが、満足する豆には出会えずいた。

そんなとき、マスターから便りが。いまはと庵という店を出したという。さっそく取り寄せてみたのが上の写真。超深煎りのリッチ・ローストブレンド。さすがにこれは深煎りしすぎでしょうと思ったが、ぬるめのお湯でいれるとほのかな甘みが。うんま〜。