酔う技術

イスラム飲酒紀行』の高野秀行さんが面白いことを言っていた。ソマリアでしばらく酒が飲めない日々が続いたら、酒の飲み方、酔い方を忘れてしまったというのだ。久しぶりにビールを飲んでも、苦いだけ。まずい。飲んでも気持ちよくなる前に、眠くなってしまう。

飲酒を再開して2、3日で症状は改善した(気持ちよく酔えるようになった)そうだが、なかなか示唆に富んだ話だと思った。つまり、オーディオにおいても、音楽を聴く技術、音楽に酔う技術というのがあるのではないか。

低域がどうとか、解像度とか、そんなことばかり気にしていたら音楽に酔えないの気がする。せっかくすばらしい音楽を聴いているのに、もったいないと思うのだ。

そういえばJBLのグレッグ・ティンバースは、「お酒が飲みたくなるような音が好き」と言ったそうだ。その割には彼が設計したSPから、酔えるような音が聴こえてこないのはなぜか…。

自分のことを言えば、飲んでもなかなか酔っぱらわないのが悩み。そして飲み過ぎると、ある時突然、記憶がなくなる(最近はそこまで飲まないけど)。Wさんみたいに、いい感じで酔える人がうらやましい(←というか、飲んでないのに酔ってるみたい?)。