日本にもこんな凄い録音があるんだ、という見本。Harry Pearsonが聴いたら冷や汗をたらして、たちどころにTAS SUPER DISCにリストアップするであろう。1曲目と2曲目、土屋友里子のヴォーカルは、CDと比べて格段に生々しい。息がかかりそうだ。そして3曲目の拍子木の乾いた音、地の底から聞こえてくるような陀羅尼、うごめく人々の足音はまるでそこになにかがいるような不気味さ。

以前、山城祥二さんの研究室にうかがったとき、でっかいMICROのレコードプレーヤーがあった。「レコード、聴かれるんですか?」と訊くと、「自分で楽しみたいときはレコードがいいですね」と言っておられた。たぶん1990年くらいのこと、世の中はすでにCDの時代だったのに。