What’s clock?

オーディオマニアは「プロ用」と聞くと有難がる傾向があるが、実際にスタジオで「プロ」の音を聴くと、別にたいしたことないのだ。オーディオマニアの思う「いい音」というより、どちらかといえばドライな音である場合が多いし、「これで仕事になるんかいな」と疑問に感じるスタジオもある。だが、それで仕事になるのだ。モニターはエンジニアの「物差し」になればいいのである。

プロが使っているのだから最高のものなのだろう、というのはアマチュアの思い込み。プロが求めるのは信頼性、確実性であり、「最高の音質」ではない。ましてや「音楽を楽しむ」「音楽に酔う」というのは別の話。もちろん音楽が楽しく聴けないと仕事にならないというエンジニアもいる。だが楽しすぎても仕事にならないわけで。

なんでこんなことを書いているかというと、クロックというものについてふと考えたから。オーディオではなにかを足せばいい音になった気がするから、いきおいシステムは複雑で巨大なものになりがちだ。マスタークロックジェネレーターというのもそのひとつで、一時期その精度を競うブームがあったように思う。ぼーぼぼさんも、STUDER A730を使っていた時にクロック入力があったので、MUTECのマスタークロックジェネレーターをつないだことがある。すぐにはずした。なんだか杓子定規な音になった気がしたから。2000年ごろのことかなあ。もう15年も前か!

今回MYTEK STEREO192-DSD DACを導入して、久しぶりにクロック入出力を使ってみた。たとえばDSDを伝送するSDIF-3接続ではクロック接続も必須。だがこの場合、送り出し機器(現在はTASCAM DA-3000)のクロックをDACに入れてもいいし、DACのクロックを送り出し機器に入れてもいいらしい。どちらでも音は出る。だが音は違う。この組み合わせではDACのクロックのほうが質がいいらしいのだが、ぼーぼぼさんには素直にDA-3000のクロックを使ったときのほうが好ましい。MYTEKのクロックを使ったほうがオーディオ的ないい音なのかもしれないが、いまいち分析的な聴き方になってしまうような気がする。DA-3000のクロックを使ったほうが、音楽にひたれるのだ。

PCM音源を聴く時はクロックは必須ではない。この場合は1)DA-3000のクロックをMYTEKに入れる、2)MYTEKのクロックをDA-3000に入れる、3)クロックを接続せず、MYTEKの内部クロックを使う、4)クロックは接続せず、AES/EBUで音楽データとともに送られてくるクロック信号をそのまま使う、の4つの選択肢がある。ぼーぼぼさんの耳には4)がいちばんよく聞こえる。

結局どういうことかというと、クロックとはあくまでも録音のプロが使うツール。複数の機器を繋ぐ必要があるスタジオで、同期を取るために使うもの。それで音が良くなるというものではなく、それがないと音が出ない、あるいは極端に悪くなる場合に使うものであって、アマチュアが音質アップのために気軽に使うようなものではないということなのだろう。

とはいえMYTEK STEREO192-DSDの上級機であるMANHATTANはさらに、とんでもなくすばらしいクロックを積んでいるらしい。その名もフェムト(どこかで聞いたことがある名前)。なんとかそれを生かす方法はないものか。ぼーぼぼさんは悩み中である…。