バッハのコーヒー豆はハンドピッキング、つまり形が悪かったりする豆を手作業で選別しているわけですが、さすがに可煎の豆にはかなわないようです。そう、あの伝説の可煎です(ていっても誰も知らないか)。

可煎は蔵前にあった喫茶店。店の中に大きな焙煎の機械があって、他の喫茶店や個人に豆を販売していました。そこで買った「ペルー・ピーベリー」よりおいしいコーヒーを、いまだに飲んだことがありません(ピーベリーというのはコーヒーの木の先端にだけできる、丸くて小さい豆です。これだけを選別したコーヒーは、なんともいえない甘みがあって絶品なのです)。

店主は変わったひとで、永田町のほうで喫茶店やバーをやっていました。東京オリンピックの、100メートル競争の候補選手だったとか? ふと手を見ると、小指がなかったのが印象的…。蔵前の店を閉めて、しばらくは市川で焙煎の仕事だけをやっていたようですが、いつのまにか音信不通になってしまいました。

彼に教えてもらった、おいいしいコーヒーのいれ方を書いておきます。

1)お湯をそそぐのは、最初は一滴ずつ。
2)下の容器に1、2滴落ちたところで、いっきにそそぐ。
3)お湯は「の」の字を書くように。だんだんそそぐ手を高くする。
4)最後はそそぐお湯でコーヒーを叩くような感覚で。

でも、このとおりにやると、濃くなりすぎるんだよなあ。