オーディオをやっていてこんなことを言うのもなんですが、音の良し悪しにこだわりすぎるのもどうかと思うのです。音の変化に一喜一憂していたら、もっと大切なことを見失うような気がする。

とはいえ、自分のシステムの音がよくなれば、それはそれで幸せな気持ちになれる。今回はNAGRA PL-Pの電源ケーブルの極性を逆にしてみた。100Vのときは試してみて好結果を得ていたが、200Vでは関係ないだろうと思っていたのだ。ところが…。これが大間違い。

音場は冬の空のように晴れ渡り、心地よいノリの良さが出て来た。奏者の呼吸など細かい音もよく聴こえるし、以前は苦手だった固い音も出るようになった。CDも良くなったけど、レコードもさらに良くなったみたい。エリントンの『GREAT PARIS CONCERT』(eBayで数ドルで買ったもの。ざら紙のジャケットなのでオリジナルと思われるけど、傷多し)、古さをまったく感じさせない音。デューク・エリントンが目の前で弾いているようにリアル。ジョニー・ホッジスのアルトがのびのびと鳴る。

1963年の録音。最近思うのだけど、60年代のステレオ録音は70年代のものより優れているような気がする。70年以降のレコードは、どうもハイファイ寄りというか、クールというか? 60年代のほうが音楽の中身がより伝わって来るような。70年を境に、なにかが変わったのだろうか? でも50年代のステレオ録音には、もっとスゴいものがあるんですよね…。