ボクが家を新築し、オーディオを再開したのが7、8年前。そのころ「ステレオサウンド」の「レコード演奏家訪問」で印象的だったのがBe2さんやゆうあんさんのシステムだ。記事を何度も読み返し、細かいキャプションまで暗記してしまったほど。その後、ふぃるさんやYUさんから話を聞くたび、いつかはその音を聴かせていただきたいと思っていた…。その時が、突然やってきた。

先週、ゆうあんさんからメールをいただき、あこがれのシステムを聴かせていただくことになった(参加者は他にDebbyさん)。初めて足を踏み入れたゆうあんさんのオーディオルームは、初めてという気がしない。dcsのデジタルシステムやGOLDMUNDのターンテーブル、SUTHERLANDのプリとパワー。どれも写真で何度も見たものだ。スピーカーだけがWATT3+PUPPY2からYG ACOUSTIC ANAT REFERENCEへと変更されていたけれど、まるで最初からそこにあったかのように、風景になじんでいる。欧米ではオーディオは、趣味のいい大人のホビーとして認識されているという。ゆうあんさんのシステムはまさにそんな感じ。知的でニュートラルなのだ。

出て来た音も、ボクにとってはリファレンスと思えるものだった。「こんな音」と形容するのが難しい、高度にバランスの取れた音。聴かせていただく前は、もうちょっとオーディオっぽい音なのかと想像していたのだが、そんなことはない。音よりもまず、演奏に耳がいってしまう。レンジの広さよりも、中域と低域を重視しているのも特徴?

フランク・シナトラのライブから五嶋みどりコルトレーン鬼太鼓座、さらに10代のアンネ・ゾフィー・ムターのレコード(じっと聴き入ってしまいました!)まで、さまざまな音源を聴かせていただいた。CD(SHM-CD)、SACD、レコードというフォーマットの差異を意識しない、見事にチューンナップされた音だと思った。

それでいて、適度に肩の力が抜けた大人の音でもある。セッティングもあまり詰めすぎない、ルームアコースティックの調整も最低限。これって、ぼーぼぼさん対策じゃないですよね(笑)。

個々の機器について何か言うのは野暮という気がします。でもあえてYGについていえば、最先端のスピーカーでありながら、どこかホーンスピーカーのような、鳴りっぷりの良さが魅力だと感じました。理詰めで考え抜いた「楽しい」スピーカーです。購入されてまだ1年半ということですから、これからどのように育てていかれるのか、気になります。

試聴会の終了後は、Be2さんも参加して近所のジャズバーで食事(カミさんのいとこの店なのです)。ゆうあんさん、ありがとうございました! Debbyさん、Be2さん、お疲れさまでした。また、よろしくお願いします!