レコードのオリジナル(輸入盤)と国内盤の違いについては、瀬川冬樹さんがとっくに書かれていたんですね。次のくだりを読むと、我々はずっと同じことをやっていて進歩がないんだなあと思う。

私の友人で、ロックとソウルの熱烈なファンがいる。好きなレコードをスリ減るまで聴いてしまったので、もう一枚買いにレコード屋に出かけた。いままで聴いてきたのは国内盤だったが、それが品切れでたまたま輸入盤(オリジナル盤)のほうが手に入ったそうだが、その夜、昂奮した声で電話をかけてきた。

「オレ、いままで何を聴いてたのかと思ったよ。ガーンと一発殴られた感じよ。国内盤のほうがスリ減って音が変わっていたのかと思って、最初の感じを思い出しながら何度も聴きくらべてみたけど、違うね。このハートのある感じは最初から聴こえてなかったもの。おまえの言う輸入盤主義がやっとわかったよ。だけど、どうして違うんだ?」