「レコードの溝に入っている以上の音は、出せないんだよ!」

とつぜんの叫び声にびっくりした。3年ほどまえの新宿の中古レコード屋さんにて。店員さんとカートリッジのことなどをしゃべっていたら、いきなり知らないおじさんが叫びだしたのだ。あとから聞くと、このおじさん、有名なレコードコレクターで、以前は中古レコードの店もやっていたらしい。どうやら、いかにオリジナル盤がすぐれているかを主張したかったようだけど…。そのときぼーぼぼさんも叫んだ(心の中で)。

「ベイシーに行け!」

ベイシーではオリジナルも米国盤も日本盤も、関係なく凄い音で鳴る。あなたはその理由を説明できるか? もちろんそんな失礼なことは言わなかったが、これはぼーぼぼさんの本音である。そのことが今回の訪問でも確認出来た。「こんな音、レコードに入ってないよ!」そう叫びたくなるような音だった。「レコード演奏家」という言葉はどうも好きになれないが、「レコード演奏家」というものがいるとしたら、ベイシーのマスターこそその名に値する一人だろう。レコードという素材を用いて、その場にミュージシャンを甦らせるイタコと言ってもいい。

ウエザーリポートの「8:30」。マイルスの「WE WANT MILES」。聴いて涙を流すようなアルバムではないと思っていた。だが、この目頭を熱くさせる音はなんなのだ。







専用電源のことを聞こうと思ったけど、酔っぱらって忘れちゃいました…。